この目で確かめる一日目
2011年4月30日
朝8時半に起きる。朝飯はガッツリ食べて新高円寺駅まで歩く。何気にこの距離は遠く片道20分以上。そこから丸の内線で新中野に行きレンタルバイクを借りる。
去年借りたところと同じところだから段取り的にはさくさく終わって店に入ってから5分くらいで出発。
まずは出発地点の新宿・東京都庁に到着。
震災の日はこのあたりも騒然としてたけど、今は震災前とほぼ変わらない街並みになっていると思う。
そこから築地のほうを抜けて浦安に向かう。
江戸川クラスの橋を渡るとさすがに125ccのバイクは風に吹き飛ばされそうになって怖いが、無事にディズニーランドエリアに到着。
国道を走っているとそこまで道の荒れ具合はわからなかったけど、道をそれてディズニーのほうに行ったとたんに液状化ってのを目の当たりにした。道がボッコボコになっている。ディズニーランドはつい先日営業を再開したはずだがゴールデンウィークな混み方はしていないような気もした。これも自粛ムードの影響なのか・・。
そこから10分もかからない少し行ったところにテレビで見ててた「富岡交番」があった。今は完全に封鎖されているが尋常じゃない。あの傾いたのを現実に見たら言葉にならなかった。
そこから千葉の市内を抜けて東金を通って蓮沼海岸に向かう。
東金あたりでやっぱり軽装だった服装に限界を感じて国道沿いにあったユニクロに行ったが、夏物ばかりで防寒具になりそうなのはなかったので、隣の良くわからないカジュアルショップで冬物半額みたいなコーナーで嘘みたいなウィンドブレーカーを購入。これが嘘みたいにあったかくて助かった。外の温度よりもバイクは体感温度が低く感じることを痛感した。
結構な時間走ったような気がしたけど、房総半島の根っこを横断。九十九里浜の蓮沼海岸に到着。ここは津波の被害があった形跡があった。
駐車場に集められた瓦礫の山を見ると、このあたりも波が押し寄せたことがわかる。海岸から見た海は今は穏やかに見えたがあれが化けたのかと思うとぞっとした。
そこから今回の目的地のひとつである旭市に向かう。
蓮沼海岸から旭市の飯岡に向かう途中ずっと海岸沿いを走ってたんだけど、飯岡に近づくに連れて半壊・全壊している家が増えてきた。テレビで見ていた映像よりも本当にリアルだ。ただ、ほんの300m先では大丈夫だったりとか、道を挟んで明暗がはっきり分かれているような感じが何かすごく複雑な気持ちになった。このあたりは防砂林があるようなところよりも完全に海っぺりに建っている建物の被害がすごかった。
走りながら気になった鳥居。神社があったのか無かったのかはわからないが・・。この周りの建物はすべて流されたのか1Fの窓が無い家がほとんどだった。至る所に更地があったが、これは家が流されたからだろう。目に見えるところの片付けは終わっている感じだけどこれからここが復興するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
飯岡の海岸を一望できる刑部海岸岬って所にのぼってこのあたりを一望してきた。最高の景色だけど、ここから見える細かいところは津波の被害で相当やられたんだと思うと何だか切なくもなってきた。灯台のところにあった展示場で津波の写真が第一波から四波まで展示してあったが本当に生々しかった・・。
遅くなると寒くなりそうだったので、ちょっとだけ急いで銚子に向かった。銚子といえば港もあって東京に届く魚も多いわけだからちょっと縁を感じる港。ここも津波の被害を受けたことはテレビで見ていた。
ここは結構街だから復旧も早いのか港沿いのお店は営業してるところもあった。しかしその道を挟んで反対側にあった第一市場とかは完全に封鎖されていた。ってことは、反対側にも間違いなく被害を被っていたのだろう。銚子は結構起伏が多い地形に感じたので、被害があったところと無かった所の差が激しいのかも知れない。港に乗り上げている船も一隻見かけた。
初めて見た利根川の河口の壮大さにちょっと外国っぽい雰囲気すら感じた。今度はゆっくりこの銚子って街を楽しみに来ようかと思った。早く市場とかも復旧できればいいなと思った。頑張れ銚子港!
港といえば海産物の即売所。銚子にはウオッセ21とかっていうポートタワーの横にある海産物センターがある。5時までのところに4時50分に行ったわけでほとんどのお店が終わっていた・・。残り物は干物ばかり・・。ホントはここで刺身買って今日の晩飯にするつもりだったのに・・。ちょいと残念。ただ、こういった施設が稼動しているって事は港も頑張っているって証拠なのでこのゴールデンウィークはマジで頑張ってほしい。ちなみにタワーの展望台は有料だったので登っていません・・・。
銚子港から利根川の橋を渡って茨城県に入る。この橋が結構でかくて感動した。河口にかかる橋ってスケールがでかいよね。
茨城に入って国道を走ったらすぐに宿にたどり着けたんだけど、ちょっとだけ海岸線を寄り道。鹿島灘って言うのかなこの辺は?風力発電の風車がたくさん建っていた。自然エネルギーってのもバカにならないことを今回の原発の事故でみんな理解し始めているんだよね。日が沈む前の風が冷たくなってきた。このあたりは津波の被害があまり無かったのか、倒壊しているような建物は見つからなかった。千葉とか茨城で今日走ったところは、海岸があって防砂林があるところよりも、海っぺりや河口とか川が逆流しそうな場所のほうが被害を受けているっぽい。宮城の名取の映像とか見てたら関係なさそうだけど・・。
そして本日の宿のある神栖に到着。鹿島臨海工業地域って中学校の社会の授業で習ったことがあるけど、実際に目の前にすると教科書に載るだけのスケールを感じる。そして、その工業団地があって栄えた町ってのもなんとなく理解。
今は鹿島アントラーズの試合とかがあったときに観光客が泊まる旅館っぽいのが結構あるみたいだけど、そこに一泊。六畳一間の部屋だけど、布団とテレビとちゃぶ台。たまにはこんな旅館もありだな。
チェックイン後、バイクでケツがかなり痛かったので周辺を歩いてみたが町の至る所が液状化なのかアスファルトがボッコボコになってて砂が出ていた。このあたりは津波よりも地震の被害のほうが凄そうだった。今もこうやってブログを書いている間にも余震があったりと、皆不安な毎日を送っているに違いない・・。
さすがに7時間もバイクに乗っていたので疲れた。
途中でボランティアをやろうかとか考えていたが、何も知らない自分が参加できるかわからない状況に無力さを感じた。だから今回は方針を変えて「この目で確かめる」にした。
この旅を終えて、何か自分の中で変わるものがあれば良いなと思う。
明日は日立~福島方面に向かおうと思う。